この記事では、放課後等デイサービスや児童発達支援の開業・起業を検討している方向けに、開業手順・必要資金・指定申請のポイントを網羅的にまとめた決定版ガイドです。医療・福祉関係者はもちろん、異業種からはじめて福祉分野で開業・起業を考えている方にも分かりやすく解説しています。
もくじ
放課後等デイサービスと児童発達支援とは?
放課後等デイサービスの定義
6歳〜18歳の就学児童(小学校~高校生)で発達に特性のある子どもに対し、学校の放課後や長期休暇中に生活能力向上のための支援(療育や余暇活動支援など)を提供する福祉サービスです。地域での自立や社会参加を促すプログラムを実施し、児童の成長をサポートします。
児童発達支援の定義
0歳〜6歳の未就学児(乳幼児~就学前)の発達支援を目的とした福祉サービスです。幼児期の早期療育・発達促進を図るため、遊びや生活訓練を通じて支援を行います。保育園や幼稚園に通う子も利用でき、日中に療育プログラムを提供する点が特徴です。
ニーズと市場動向
近年、両サービスとも利用ニーズが高まっており、事業所数・利用者数は年々増加しています。例えば児童発達支援事業所数は2012年比で約3.6倍に増えており、放課後等デイサービスも全国で拡大傾向にあります。政府の支援策もあって市場は成長中ですが、事業所増加に伴いサービスの質の重要性も増しています。
開業視点で見る「放課後等デイサービス」と「児童発達支援」の違い
対象児童とサービス時間の違い
両者の最大の違いは対象となる児童の年齢です。放課後等デイサービスは主に就学児(6〜18歳)対象で、サービス提供時間は学校終了後の夕方〜夜間や週末・長期休暇中。一方、児童発達支援は未就学児(0〜6歳)対象で、提供時間は日中(午前〜午後の一定時間)となります。開業する際は、自身が支援したい年齢層・発達段階に合わせて事業種別を選ぶ必要があります。
支援内容・役割の違い
児童発達支援では保育的アプローチを基盤に、遊びや集団活動を通じて基本的な発達を促す療育が中心です。放課後等デイサービスでは生活能力の向上や社会性の発達支援に重点を置き、地域社会への参加も視野に入れたプログラムを提供します。どちらのサービスを提供するにせよ、開業時には自施設のコンセプトを明確化し、適切なプログラムを準備する必要があります。
人員配置基準・必要資格の違い
両事業とも行政の定める人員基準を満たす必要があります。共通して「児童発達支援管理責任者」(いわゆる児発管)を1名以上配置しなければなりません。また、児童指導員や保育士など有資格者の配置が必要で、児童数に応じた人数の確保が義務付けられています。違いとしては、児童発達支援ではより幼い子どもへの支援となるため保育士の比率が高い傾向、放課後等デイでは学校教育との連携や学習支援のため教員資格者がいるケースもあります。開業準備段階で、それぞれ必要なスタッフの資格要件と人数を確認し確保しましょう。
設備・環境の違い
いずれの事業も法律で定められた設備基準を満たす物件が必要です。例えば「発達支援室」「相談室」などの専用スペースの確保、トイレや洗面所の設置、防音対策等は共通です。児童発達支援では乳幼児が安全に過ごせるようバリアフリーや遊具設備に配慮が必要で、放課後等デイでは学齢期の子どもが宿題等できる学習スペースや年齢に合った遊び道具などを用意するなど、対象年齢に応じた環境作りが求められます。
開業コスト・収益構造の違い
開業資金は事業規模や地域によって変動しますが、児童発達支援は1,000万〜1,500万円程度が必要、放課後等デイサービスは1,500万〜1,800万円程度が必要になると一般的に言われています。設備や人件費など大きくは変わりませんが、放課後等デイは定員がやや多め・運営時間が短め(放課後から数時間)である一方、児童発達支援は定員が比較的少数で日中長めに活動するなど運営形態が異なります。ただし収支モデル自体は両者ともに、利用者ごとに国や自治体から給付費(報酬)が支払われ、利用者(保護者)の自己負担は原則1割となる点で共通です。提供するサービス内容や加算取得状況により収益は変動しますが、どちらも安定した公共報酬が収入の柱となります。
放課後等デイサービスを開業するための必要条件(人員基準・設備基準・運営基準)
法人格の取得
放課後等デイサービス事業は法人でなければ開設不可です。まず株式会社やNPO法人、合同会社などの法人設立が必要になります。既に法人をお持ちの場合は定款に事業目的を追加する変更が必要になります。
人員基準の充足
開業前に職員の確保を行い、人員配置基準を満たさねばなりません。最低限、管理者(施設長)、児童発達支援管理責任者(資格要件と研修修了・実務経験が必要)、児童指導員または保育士、必要に応じて機能訓練担当職員などの配置が求められます。定員10名以下で指導員2名以上、11〜15名で3名以上…と利用児童数に応じた職員数も決められています。
必須職種 | 配置人数・要件 | 常勤要件 | 備考 |
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管理者 | 1 名以上 | ― | 他職務との兼務可(児発管と兼務も可) |
児童発達支援管理責任者(児発管) | 1 名以上 | 常勤・専従 | 資格+実務経験+研修修了が必要 |
児童指導員 または 保育士 |
|
2 名中1 名以上常勤 | 児童数5人につき1人以上配置(5:1) |
機能訓練担当職員 | 必要に応じ配置 | ― | 理学療法士・作業療法士など。機能訓練を行う時間帯だけで可 |
看護職員 | 医療的ケア児を受け入れる場合必須 | ― | 訪問看護と連携していれば常時配置でなくても可 |
設備基準の充足
物件のレイアウトや設備も行政基準を満たす必要があります。児童が安全・快適に過ごせる広さ・間取りを確保し、「発達支援室」(活動室)や「相談室」を分離して設けること、防音や衛生設備などの条件をクリアする物件を用意します。物件選定時には自治体の指定基準に合致しているか確認が必要です。
運営基準の遵守
提供するプログラム内容や運営体制もガイドラインに沿う必要があります(虐待防止措置や非常災害対策、苦情対応制度の整備など)。開業前に運営規程を作成し、スタッフ研修体制や緊急時対応のルール作りも行います。
放課後等デイサービス開業までの手続き・ステップ
開業までに必要な具体的手順を時系列で整理します。放課後等デイサービスの場合、開業準備開始から実際のサービス提供開始まで約6ヶ月〜1年かかるのが一般的です以下のステップに沿って計画的に準備を進めましょう。
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事業計画の策定: まず地域のニーズや競合状況を調査し、自施設の事業計画書を作成します。提供予定のサービス内容や想定利用者数、収支予測、差別化ポイントなどを盛り込みます。事業計画書は指定申請時や融資を受ける際にも必要となる重要書類です。
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法人設立・各種許可取得: 新規に法人を設立する場合は定款作成・登記申請などの手続きを行います。既存法人で始める場合も事業目的に放課後等デイサービス事業を追加するなど定款変更が必要です。また、法人設立後は社会保険・労働保険への加入手続きも忘れずに行います(指定申請書類に加入状況の届出書が必要)。
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資金計画と資金調達: 開業に必要な資金の全体像を算出し、自己資金と融資等の資金調達計画を立てます。開業資金は一般的に1500万〜1800万円前後が目安と言われていますが、物件の規模や所在地によって変動します。自己資金だけで賄えない場合は、日本政策金融公庫など政府系金融機関の創業融資を検討しましょう。融資申し込み時にも事業計画書や資金計画の提示が求められます。
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物件探しと契約・改装: 指定基準を満たすことができる物件を探し、賃貸借契約を締結します。立地や家賃、広さだけでなく、児童が安全に活動できる環境かを重視しましょう。契約後は必要に応じて内装リフォームを行います。発達支援室や相談室の設置、トイレの増設、防音工事、バリアフリー化などを進めます。工事期間も見込み、早めに着手することが重要です。
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従業員の採用・研修: サービス提供開始に向け、必要な職種・人数のスタッフを採用します。募集はハローワークや求人サイト、知人ネットワークなど多方面で行いましょう。児童発達支援管理責任者は人材が限られるため早めに確保が必要です。採用後は開業前研修を実施し、療育の方針や支援計画の立案方法、緊急対応手順などスタッフ間で共有します。
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指定申請の準備と提出: 法人設立・物件・人員の手配が整ったら、所轄自治体(市町村)に対して放課後等デイサービス事業の指定申請を行います。申請書類一式を揃え、自治体指定の期日までに提出します(多くの自治体では開業希望月の2ヶ月前の末日が締切)。必要書類は自治体により異なりますが、申請書・事業計画書・収支予算書・物件の平面図・職員の資格証明書類など多岐にわたります。提出前に事前相談を求められる自治体もあるため、開業予定の3〜6ヶ月前までに担当部署へ相談し書類のチェックを受けると安心です。
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開業直前の準備: 指定申請が受理され開設許可がおりると、いよいよ開業目前です。開業日までに備品の調達(机や椅子、遊具、教材、消耗品など)を完了させます。また、請求管理ソフトの導入も事前に行いましょう。サービス提供後の給付費請求業務が円滑にできるよう、国保連合会への請求に対応した専用ソフトを準備しておくことをおすすめします。複数のソフトを比較検討し、自事業所に合ったものを選定します。
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利用者募集・広報活動: 開業日が決まったら、その日までに利用してくれる児童を集める営業活動も重要です。障害児を持つ保護者へ事業所を知ってもらうため、チラシやパンフレット、ホームページを作成して配布・公開します。地域の相談支援事業所への訪問、近隣の小中学校への案内、事業所説明会の開催などを通じて顔を知ってもらいましょう。口コミや紹介も大切なので、地域の関係機関とのネットワーク作りにも努めます。
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開業・サービス開始: 全ての準備が整い、利用児童の受け入れ体制ができたら、いよいよ開業日です。初日はスタッフ全員で受け入れ体制を確認し、安全に配慮しながら児童を迎えます。開業後もモニタリングや個別支援計画の作成を適切に行い、質の高い支援サービス提供に努めてください。軌道に乗るまでの数ヶ月間は試行錯誤があるかもしれませんが、計画を定期的に見直しつつ安定運営を目指しましょう。
放課後等デイサービスの開業に必要な資金
初期費用の目安
放課後等デイサービスの開業には概ね1500万〜1800万円程度の初期資金が必要と言われます。内訳は物件取得・改装費、備品購入費、人件費(開業準備期間の給与含む)、研修費、広告宣伝費、そして運転資金などです。利用者受け入れ開始から国保連合会からの給付費が入金されるまでタイムラグがあるため、数ヶ月分の運転資金も確保しておく必要があります(開業後2ヶ月ほど収入が無い期間を想定)。
資金調達方法
自己資金に加え、不足分は融資で賄うケースが多いです。日本政策金融公庫の新創業融資制度や民間金融機関の融資、自治体の創業支援助成金などを組み合わせるとよいでしょう。融資審査では事業計画の妥当性や自己資金割合がチェックされるため、計画を練り数字の裏付けを準備して臨みます。
収支モデル・収益の考え方
放課後等デイサービス事業の収入は、主に障害児通所給付費(国・自治体からの給付)と利用者の自己負担金で構成されます。給付費は提供するサービス内容や加算項目によって1日あたりの単価が設定され、利用児童数×単価が収入となります。例えば平日の放課後に1日あたり○○円の基本報酬+各種加算が得られる計算です。一定の利用者数を確保できれば安定収入が期待できますが、利用者が定員に満たないと赤字になる可能性もあります。人件費や家賃等の固定費とのバランスを踏まえ、損益分岐点(何人利用で黒字化するか)を事前に試算しておきましょう。
児童発達支援事業を起業するための必要条件(人員基準・設備基準・運営基準)
法人格の取得
児童発達支援事業も放課後等デイ同様に法人でのみ開業可能です。株式会社、NPO法人、社会福祉法人、合同会社等を設立しなければなりません。既存法人の場合は定款への事業目的追加を忘れずに行います(児童福祉法に基づく児童発達支援事業を行う旨を明記)。
人員基準の充足
開業時までに必要職員の採用・配置を完了させ、人員基準を満たします。管理者や児童発達支援管理責任者(児発管)の配置は必須であり、児発管には所定の資格と実務経験・研修修了が求められます。さらに児童指導員・保育士を定員に応じ必要人数配置します(例:定員10名以下なら2名以上等)。小さな子どもを預かるため、保育士資格者が多いと望ましいでしょう。加えて必要に応じ機能訓練担当職員(理学療法士など)を配置するケースもあります。採用競争が激しい職種もあるため、早めの求人活動が鍵となります。
設備基準の充足
児童発達支援事業所の物件も放課後等デイと同様、人員・設備・運営基準を満たす必要があります。乳幼児が過ごす空間のため、安全対策(角の保護や転落防止等)や衛生環境に特に配慮した設備が求められます。必要な部屋として「児童発達支援室」(活動訓練室)や「相談室」の設置、防音・防犯設備の導入、お昼をまたぐ場合は簡易な食事スペースの確保等も検討します。自治体の提示する設備条件を事前に確認し、物件選定・改装計画に反映させます。
運営基準の遵守
運営面では、個別支援計画の作成・モニタリングの実施、家族支援や相談支援との連携、緊急時対応や虐待防止策の整備など、児童福祉法に基づく運営基準に沿った体制づくりが必要です。開業前に運営規程を策定し、スタッフへの周知徹底を図りましょう。
児童発達支援開業までの手続き・ステップ
児童発達支援事業の立ち上げについても、大まかな流れは放課後等デイサービスと共通しています。以下に、児童発達支援の開業準備ステップを整理します(適宜、放課後等デイとの違いに言及)。
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事業計画の策定: 地域の未就学児の人口や発達支援ニーズを調査し、事業計画書を作成します。提供プログラム(例:言語訓練、感覚統合療法、親子支援イベント等)や対象児の月齢範囲、1日の利用定員数、収支計画など具体的に記載します。児童発達支援ならではの特色(例:幼稚園・保育園との連携支援、親御さんへの育児支援相談など)も計画に盛り込みましょう。
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法人設立・各種届出: 法人を設立していない場合は速やかに設立手続きを行います(株式会社設立の場合、公証人役場で定款認証→法務局へ登記申請等を実施)。既存法人の場合、定款変更や所轄庁への事業開始届提出など必要な手続きを行います。合わせて社会保険・労働保険の加入手続きも済ませます。
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資金計画と資金調達: 必要資金の見積もりを行い、資金調達計画を立てます。児童発達支援開業資金の目安は1000万〜1500万円前後と言われます。放課後等デイより若干低めになる傾向もありますが、施設規模や人件費次第では同等の資金が必要です。融資を受ける際は、日本政策金融公庫の教育小口資金なども検討対象です(幼児教育分野への融資枠がある場合があります)。事業の社会的意義をアピールし、計画の説得力を高めて資金を確保しましょう。
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物件探しと環境整備: 子どもたちが安心して通える立地と環境を持つ物件を選定します。保育園や幼稚園が近隣にあるエリアだと利用検討者にアプローチしやすいでしょう。賃貸物件の場合、オーナーに事業内容(児童福祉施設)を説明し理解を得ることも大切です。契約後、必要な改装工事を行います。乳幼児向けに床のクッション性を高める、キッズトイレを設置する、ベビーベッドやお昼寝用マットを用意する等、年齢に合わせた環境づくりを進めます。
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スタッフ採用と研修: 開業までに必要人員を採用します。児童発達支援管理責任者は必須配置ですが、人材不足の職種でもあるため早期に確保しましょう。保育士・児童指導員は子どもの発達段階に理解のある人材を選ぶことがポイントです。採用後、放課後デイ以上に安全管理や事故防止の研修が重要になります。乳幼児特有のケア(食事介助やお昼寝中の見守り等)についてスタッフ間で確認し、万全の態勢で開業日を迎えられるよう準備します。
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指定申請の準備と提出: 物件・人員体制の目処がついたら、自治体への児童発達支援事業所指定申請を行います。提出書類や期限は自治体ごとに定められていますが、多くは放課後デイと同じく開所希望日の2〜3ヶ月前が締切です。書類には事業計画書・収支予算書・平面図・人員配置表・各職員の資格証コピー・研修修了証・運営規程などを含みます。児童発達支援の場合、場合によっては併設する保育施設の有無や関連サービス提供計画について追加資料を求められることもあります。提出前に自治体担当者と事前協議を行い、不備なく受理されるようにしましょう。
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備品調達と開業準備: 開業日までに必要備品を購入・設置します。玩具、絵本、製作活動の道具、感覚統合遊具(ボールプールやトランポリン等)など、幼児が興味を持ち発達に役立つ教材を揃えます。安全対策用品(クッションマット、ゲート、防護ネット等)も忘れずに。また、利用申込書や連絡帳、個別支援計画書フォーマットなど書類類の準備も行います。保護者向けの案内文書や契約書類一式も事前に作成し、開業日に備えます。
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利用者募集・連携構築: 開業前に地域の子育て支援センターや療育センター、小児科クリニックなどに挨拶し、利用希望者の紹介につなげます。チラシやWebサイトで事業所の理念・特色(例:「遊びを通じた療育」「親子参加型プログラムあり」等)を発信し、興味を持った保護者から見学問い合わせを受け付けます。見学会や無料体験日を設定すると、具体的な利用検討につながりやすくなります。
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開業・サービス提供開始: 開業日に向け最終チェックを行い、スタッフ全員で受け入れ体制を確認します。初日は保護者への契約説明や面談を丁寧に行い、信頼関係構築の第一歩としましょう。児童発達支援では特に保護者支援も重要なので、定期的に子どもの様子を伝える仕組み(連絡帳や面談日)を整備し、開業後の運営に活かしていきます。
児童発達支援の開業に必要な資金
初期費用の目安
児童発達支援事業所の開業資金はおよそ1000万〜1500万円が目安です。物件改装費や備品購入費、人件費など基本項目は放課後等デイと共通ですが、乳幼児向け設備(遊具や安全対策)の導入費用がかかる反面、小規模な事業所が多いため物件賃料は抑えめになるケースもあります。なお、公費請求のタイムラグによる運転資金の確保も同様に重要です。数ヶ月分の運転資金を見越した資金繰り計画を立てておきます。
資金調達方法
自己資金だけで不足する場合、各種融資や助成金を活用します。日本政策金融公庫の融資は児童発達支援でも利用可能です。また自治体によっては創業支援助成や福祉事業所開設補助が用意されている場合もありますので情報収集しましょう。クラウドファンディング等で地域の賛同を得て資金を集めた事例もあります。開業目的や地域の子ども達への思いを明確に伝えることで資金調達を円滑にします。
収支モデル・収益の考え方
収入の構造は基本的に放課後デイと同じく給付費+利用者負担です。ただしサービス単価は児童発達支援と放課後デイで若干異なります。児童発達支援のほうが1日の提供時間が長い分、基本報酬単価が高めに設定される傾向があります。その分スタッフ人件費も高くなりやすい点に留意が必要です。定員管理も重要で、小規模ゆえに1人欠員が出ると収支に影響を及ぼしやすいです。満枠稼働を維持できるよう、常に利用者確保とサービス向上に努めることが経営安定のポイントです。
開業後に成功するためのポイント・注意点
質の高いサービス提供
事業所乱立時代とも言われ、開業しただけでは利用者が集まりにくくなりつつあります。選ばれる事業所になるためには、療育プログラムの質やスタッフ対応の丁寧さ、施設の清潔さなどサービスの質を高く維持することが不可欠です。子ども達の成長に真摯に向き合い、保護者からの信頼を得ることで口コミも広がり、長期的な経営安定につながります。
人材確保と育成
福祉人材の不足が叫ばれる中、優秀な人材の確保と定着は最大の課題です。働きやすい職場環境づくり(待遇改善、研修制度、フォローアップ体制など)に力を入れましょう。スタッフの離職を防ぎ、経験を積んでもらうことでサービスの質向上にも寄与します。
行政動向のチェック
報酬基準や指定基準は行政の方針により見直されることがあります。開業後も厚生労働省やこども家庭庁からの通知、報酬改定の情報にアンテナを張り、早めに対応策を講じることが大切です。報酬改定は利益に直結するため、定期的に最新情報を収集し、必要に応じて事業計画の軌道修正を行いましょう。
利用者獲得の継続的取り組み
開業直後だけでなく、常に新規利用者の募集や地域への周知活動は続けていきます。紹介や口コミが広がるよう、保護者満足度を高める努力(丁寧な相談対応、イベント開催等)を継続しましょう。地域の児童発達支援センターや学校、医療機関との連携も深め、情報交換やケース会議への参加を通じて信頼関係を築くことも大事です。
まとめ
放課後等デイサービスと児童発達支援、それぞれの開業ポイントを比較しながら解説してきました。対象児童の年齢や支援内容の違いこそありますが、いずれも開業には十分な準備と情熱が求められる事業です。法人設立から資金調達、指定申請まで多くのステップがありますが、一つ一つ計画的に進めることで開業への道が開けます。
本記事の構成を参考に、ぜひ具体的な事業計画策定や開業準備に役立ててください。子ども達の未来を支える大切な事業を始める意義は大きく、社会的なニーズも高まっています。「なぜこの事業をやりたいのか?」という原点の思いを大切にしつつ、実現に向けて準備を進めていきましょう。
開業に不安がある場合は、専門のコンサルタントや行政の開業支援窓口に相談するのも有効です。資金計画や指定申請書類の作成支援を受けられるサービスもあります。本記事で得た知識を土台に、ぜひ夢の実現に踏み出してみてください。事業開始後も学びを積み重ね、子ども達と地域に愛される事業所を目指して頑張ってください。