訪問看護ステーションの指定基準と実地指導とは?

edit投稿日:2021年7月10日 cached最終更新日:2021年10月3日

日本は少子高齢化が進み、要介護状態となる高齢者も次第に増えてきています。このように要介護状態となれば日々のバイタルサインの確認や食事を経口摂取できない方への対応など、医学的知見に基づいた介護が必要となるケースも増えてくるでしょう。

2021年現在、在宅での医療行為が必要な高齢者の増加に伴い、訪問看護師の必要性は高まっています。しかし、現状は訪問看護ステーション自体は増えているものの需要の方が大きく、訪問看護ステーションの増加が望まれます。

訪問看護事業所の開設にはさまざまな要件があり、基準をクリアしなければ訪問看護事業を運営することができません。ここでは訪問看護の【指定基準】と【実地指導】について分かりやすくご紹介します。

こんな人にオススメ
  • 訪問看護事業に興味がある、訪問看護ステーションの開業を検討している
  • 訪問看護の指定基準について分かりやすく知りたい
  • 訪問看護の実地指導の具体例などについて知りたい

訪問看護の指定基準とは?

訪問看護ステーションを運営するにあたり、介護保険法に基づき「人員基準」「設備基準」「運営基準」の規定をクリアする必要があります。

また、訪問看護ステーションが、

  • 「通常型」なのか「出張型(サテライト)」なのか
  • 通常型でも「訪問看護ステーションが基地」なのか「医療機関が基地」なのか

によっても、指定基準はさまざまです。

ここからは、訪問看護の指定基準について「通常型」と「出張型(サテライト)」に分けて説明していきます。

通常型の訪問看護における指定基準

通常型の訪問看護事業には以下の2種類があり、それぞれ指定基準が少し異なります。

①指定訪問看護ステーション(病院または診療所以外の指定訪問事業)

②指定訪問看護を担当する医療機関(病院または診療所の指定訪問事業)

 

通常型の訪問看護の人員配置基準

▼①指定訪問看護ステーション(病院または診療所以外)の場合

管理者 原則、常勤の看護師もしくは保健師1名
看護職員(保健師、看護師または准看護師) 常勤換算で2.5人以上必要

(管理者との兼務は可能)

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 訪問看護ステーションに応じた適当数

▼②指定訪問看護を担当する医療機関(病院または診療所)の場合

看護職員(保健師、看護師または准看護師) 相当数(1名は常勤)

 

通常型の訪問看護の設備基準

▼①指定訪問看護ステーション(病院または診療所以外)の場合

事務室※ 事業の運営を行うための広さを有する専用の事務室

(同一敷地内に他の事業所、施設等がある場合は、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の区画でも可)

利用申込み受付、相談等に対応するのに適切なスペース

設備および備品等 指定訪問看護の提供に必要な設備および備品等

感染予防を目的とした衛生用品

※事務室は訪問看護に関する事務処理のみを行う訪問看護専用の事務室を設けることが望ましいとされています。

▼②指定訪問看護を担当する医療期間(病院または診療所)の場合

事務室※ 事業の運営を行うために必要な広さを有する専ら事業の用に供する区画

利用申込み受付、相談等に対応するのに適切なスペース

設備および備品等 指定訪問看護の提供に必要な設備および備品等

感染予防を目的とした衛生用品

※病院や診療所が併設されている場合は、他の看護施設が有する事務室と訪問看護の事務室を明確に区別する必要があります。

通常型の訪問看護の運営基準

厚生労働省が定めた運営基準は以下の通りです。(一部抜粋)

 

1)準備

①手続きの説明および同意
利用申込者またはその家族等に対し、提供の開始について同意を得る必要があります。

②受給資格の確認
要介護被保険者であるか否か確認が必要です。

③心身の状況等の把握
利用者の病歴、病状、介護の状況、母屋の構造等の家庭環境、他の保険、医療又は福祉サービスの利用状況等の把握に努め、訪問看護記録書に記入し保管する必要があります。

④利用料
基本利用料は訪問看護療養費に関わる指定訪問看護の費用の算出方法により算定した額から訪問看護療養費もしくは家族訪問看護療養費として支給された額に相当する額を控除した額により算定した額を徴収する必要があります。
また指定訪問看護を提供する前にあらかじめ利用者やその家族に対し、基本利用料ならびにその他の利用料の内容や額に関して説明し、同意を頂く必要があります。

⑤保険医療サービスおよび福祉サービス提供者との連携
運営において市町村はじめ他の保険、医療又は介護を含む福祉サービスを提供する者と密接な連携が取れていることが重要です。連携にあたっては、指定訪問看護以外のサービスの提供内容を十分に確認するとともに、市町村に設けられた地域ケア会議、在宅介護支援センター等を積極的に活用する必要があります。

 

2)実務

①提供拒否の禁止
療養上の世話の程度が重いことを理由に訪問看護の利用を拒否することはできません。

②提供困難時の対応
病状が重篤なため、指定訪問看護ステーションでの対応が困難な場合は、速やかに主治医へ連絡して他の指定訪問看護事業者を紹介するなど必要な処置を講じる必要があります。

③訪問看護計画書および訪問看護報告書の作成
看護師は利用者の希望および心身の状況、主治医の指示等を踏まえて、看護目標、具体的なサービス内容等を記載する必要があります。
理学療法士、作業療法士および言語聴覚士が訪問看護を提供している利用者については、訪問看護計画書や報告書は理学療法士等が連携して作成する必要があります。

④主治医との関係
指定訪問看護ステーションの管理者は主治医の指示に基づき指定訪問看護が行われるよう、主治医との連絡調整、指定訪問看護の提供を担当する看護師等の監督、管理を行う必要があります。

⑤緊急時の対応
利用者の病状に急変等が生じた場合は臨時応急の手当を行い、速やかに主治医へ連絡指示を求めることが重要です。

⑥管理者の責務
利用申し込みに関わる調整、業務の実施状況の把握等の管理を一元的に行い、合わせて適切な指定訪問看護を提供できるよう、指揮命令を行いましょう。

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出張型(サテライト)の訪問看護における指定基準

山間部や過疎地など要件を見たす場合は、待機や道具の保管、着替え等を行う出張所(サテライト)を設置することができます。

ただし、出張型(サテライト)の訪問看護を行うためにはいくつかの要件が必要となります。

出張型(サテライト)訪問介護における指定基準の要件

  1. 利用申込みに関わる調整、指定訪問看護の提供状況の把握、職員に対する技術指導等が一体的に行われること。
  2. 職員の勤務体制、勤務内容等が一元的に管理されていること。必要な場合に随時、主たる介護事業所や他の出張所との間で相互支援が行われる体制(例えば、主たる事業所から急遽代替要員を派遣できるような体制)にあること。
  3. 苦情処理や損害賠償等に際して、一体的な対応ができる体制にあること。
  4. 事業の目的や運営方針、営業日や営業時間、利用料等を定める同一の運営規程が定められること。
  5. 人事、給与、福利厚生等の勤務条件等による職員管理が一元的に行われること。

出張型(サテライト)の訪問看護の人員配置基準

通常型の指定訪問看護ステーション(病院または診療所以外)における人員基準に加えて、以下の人員を満たせば、サテライトでの人員配置基準は満たされます。

  1. サテライトにおいて、看護職員をサテライトの営業時間中に1名以上配置すること。(サテライトの営業日および営業時間は、主たる事業所と別に設定できる。)
  2. サテライトにおいて、理学療法士当を利用者数に応じた適当数を配置すること。
  3. サテライトにおける看護職員および理学療法士等については、常勤、非常勤問わない。

出張型(サテライト)の訪問看護の設備基準

事務所 事務室

相談等に対応するための適切なスペース

必要な設備、備品 訪問看護に必要な設備、備品

感染症予防に必要な設備、備品

出張型(サテライト)の訪問看護の運営基準

通常型の訪問看護の運営基準に加えて、以下の内容に従って運営する必要があります。

1)主たる事業所とサテライトの運営は同一法人により行われること
2)サテライトを設置しようとする地域は、主たる事業所の運営規定に定める通常の事業の実施地域内であること。

訪問看護の実地指導について

実地指導とは、指定基準をクリアして訪問看護事業をはじめた後に、その事業所が基準を守って運営しているかを行政がチェックする仕組みのことで、行政の実地指導担当者が事業所に直接出向いて行われます。実地指導の内容には「運営指導」と「報酬請求指導」の2つがあります。

実地指導は事業所単位で個別に行われるのに対して、複数の事業所を対象に行う指導を「集団指導」といいます。集団指導は制度管理を最適化するために、介護事業者(事業所の管理者や経営者)を集めて説明会を行います。

通常、実地指導は2週間前までに事業所に通知が届き、行われます。※虐待との関連が疑われる場合に限り、抜き打ち(事前連絡なし)で実地指導が行われる可能性があります。書類や運営状況から指定基準をクリアしているかを確認し、不正や基準を満たせていない可能性が高い場合には後日、監査の対象となる場合があります。

令和元年度の実地指導、指定申請書での具体的な指摘内容(※訪問看護の事例のみ抜粋)

看護師等の員数 通所介護事業所との連携において、看護師等が通所介護事業所の業務を行っている時間は訪問看護事業所の看護師等としての人数に含めてはならないにも関わらず含めており、常勤換算方法で2.5人を下回っていた
訪問看護費
  • サービスの提供の実績が書類上で確認できないにも関わらず、訪問看護費を算定していた
  • 主治医の判断に基づいて交付された 指示書がないにも関わらず、訪問看護費を算定していた
  • 記録上のサービス提供内容と実際に請求した訪問看護費の区分に相違があった

2021年、コロナウイルス感染症を配慮した実地指導

本来であれば、規定の有効期間内に1回以上の実地指導が望ましいとされていますが、2020年・2021年は、新型コロナウイルス感染拡大の観点から、延期すること等も含めて柔軟に対応されています。集団指導においては、集合しての指導が難しければオンラインを含めた方法も検討しているそうです。

まとめ

これまで、訪問看護の指定基準について解説してきました。最後にポイントをまとめましたので、振り返りの際にご活用ください。

筆者

ポイント①:訪問看護の指定基準には通常型と出張型(サテライト)があり、それぞれ基準が異なる
ポイント②:訪問看護の指定基準は「人員基準」「設備基準」「運営基準」の3つの要件がある
ポイント③:実地指導は2週間前までに通知があり、行政の担当者が現地に出向き「運営指導」と「報酬請求指導」の観点で行われる

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