介護報酬改定と加算・単位数の計算方法

edit投稿日:2021年6月26日 cached最終更新日:2023年9月30日

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介護事業所が利用者に対して介護サービスを行う対価として支払われる介護報酬は、介護の状況に応じて3年に1度のタイミングで見直しを設けられ、時代に合わせて強化していく項目が変わっていきます。

サービス提供者や利用者の介護ニーズを見ながら改定されるため、改定後の要点を把握することは介護事業所の収益にも反映される重要な部分です。

こんな人にオススメ
  • 介護報酬改定のことが詳しく知りたい
  • 加算や単位の仕組みや計算方法について知りたい

介護報酬改定ができた背景

平成12年に介護保険法が策定され、2021年で約20年が経ちます。介護保険制度が作られた理由は、当時は高齢者の「社会的入院」と言われる、医療の必要度が低いにも関わらず病院へ入院している人が増えたことで医療保険の逼迫がきっかけでした。

2021年で第7期の改定を行う介護保険制度ですが、介護保険の総費用は運用開始時と比較して、約3倍にあたる10兆円まで膨れ上がっており、財源不足や介護人材不足も新たな問題となっています。

なぜ3年に一度の改定が必要なのか?

なぜ、3年に1度の介護報酬改定が必要なのでしょうか。

これには「①日本の要介護者増加」と「②介護の担い手」という2つの問題が絡んでいます。

単に介護従事者の待遇を決めるだけではなく、介護に関わる社会情勢も含めた介護保険制度のありかたを見直し、日本全体の介護状況の改善につなげることが目的です。

現在の日本における介護の問題

介護業界にいると、よく「2025年問題」「2040年問題」という言葉を耳にするのではないでしょうか。

第一次ベビーブームの時に生まれた団塊の世代が75歳に達し、国民の4人に1人が75歳以上になる年が2025年で、その15年後の2040年になると、高齢者人口(65歳以上)が4000万人に達し、高齢者1人を1.5人の現役世代で支えなければいけない時代となります。

人口予測からも伺えるように、今後は高齢者の割合が増え、高齢者をサポートする現役世代の割合が減少していきます。そこには介護の質が下がる要因や介護者の労働環境の問題などが顕著に現れると危惧されています。

介護報酬改定とは、その時代背景に合わせて介護を適正化する役割があります。介護需要が高まる中、要介護者・介護者の双方が介護の恩恵を受けられるように調整しなければなりません。

2021年度の介護報酬改定

2021年度の介護報酬改定では人材確保、自立支援、感染症対応が柱となっていることに加えて、科学的介護の基盤データベースとなる「CHASE」や「VISIT」へデータを渡し、フィードバックを受けてPDCAを回していく取り組みが拡充されます。

「科学的介護」の実装に向けて、2021年度の介護報酬改定では、利用者情報・サービス内容等の情報を集める「CHASE」と、リハビリ情報に特化した「VISIT」が合わさり、科学的介護情報システム「LIFE」に統合されました。

それに合わせて、科学的介護推進体制加算(通所介護)が新たに追加され、算定要件を満たしていれば以下の内容の加算が算定可能となります。

単位数 40単位/月
算定要件
  • 利用者のADL、栄養上体、口腔帰納、認知症の状況、その他の心身の状況等に係る基本的な情報を厚生労働省に提出していること。(LIFEの活用)
  • サービスを適切かつ有効に提供するために、必要に応じてサービス計画を見直すなど、LIFEの情報を活用していること(PDCAサイクルの運用)

※【LIFE】を利用するには申請を行う必要があります。

厚生労働省の以下のサイトからアカウントの登録や引き継ぎを行うことができますので、ご活用ください。

https://life.mhlw.go.jp/login

LIFE加算にも対応した介護ソフト
3年に一度の報酬改定。介護ソフトによっては「対応する」「すぐには対応されない」「アップデートには追加料金がかかる」などさまざまです。

介護ソフト【カイポケ】なら、最新のLIFE加算に対応しつつ、介護報酬改定ごとのアップデートは自動でおこなわれ、追加料金もかからないためオススメです。

2021年度 介護報酬改定の【5つ】の重要ポイント

2021年はコロナ禍になってから初となる介護報酬改定で、大きく5つの強化ポイントが発表されました。

・コロナウイルス感染症や災害の発生を受けて

①感染症や災害への対応力強化

・団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて

②地域包括ケアシステムの推進

③自立支援・重度化防止の取組の推進

④介護人材の確保・介護現場の革新

⑤制度の安定性・持続可能性の確保

それぞれについて、もう少し詳しく解説します。

①感染症や災害への対応力強化

感染症や災害の影響により、通所介護等の利用者数の減少に対する対策

②地域包括ケアシステムの推進

認知症の増加、在宅介護における医療と介護の連携不足、過疎地など地域差による介護の格差などに対する地域での介護ケアシステムの構築

③自立支援・重症化防止の取組の推進

リハビリテーションの推進、寝たきりの防止、科学的介護の実装

④介護人材の確保・介護現場の革新

介護職員の処遇改善や職場環境の改善に向けた取り組み、テクノロジーも用いた業務効率かの推進

⑤制度の安定性・持続可能性の確保

必要なサービスの適正化や重点化や報酬体系の簡素化

上記に加えて、2020年度のコロナウイルスの蔓延にて2021年4月から9月までの間、全介護サービスを対象として、月の基本報酬に対して0.1%の上乗せを行う措置がとられています。

その他にも、自立支援対策として、リハビリ職、栄養士の関与を明確化することなど、多職種介入の推進や、科学的根拠に基づいた介護の推進に重点化する改定となっています。

介護報酬の加算・単位の計算方法

介護報酬は1単位=10円で計算します。

※基本的には10円ですが、地域によっては単価に地域差があるので、正確な計算には地域別の単価を確認する必要があります。

単位数の計算式は以下の通りです。

(①基本単位+②各加算)×③地域区分

【①基本単位】と【②各加算】は、介護給付費のサービスコード表にしたがって、利用者が1か月に受けた介護サービスの合計単位数を入力します。

【③地域区分】については、地域区分の1級地から7級地、その他の8分類によって区分が異なります。一番高い東京23区の場合は、基本報酬に最大20%上乗せの料金で計算します。

※詳しいサービス毎の単位数はサービスコード表を、地域区分の適用地域は厚生労働省が出している地域区分表をご覧ください。

また、利用者の要介護度によっても発生する単位数が変わってきます。

利用者1人にかかる介護費は、(1)介護度の状況、(2)介護施設、介護サービスの利用状況、(3)サービスの利用時間によっても左右されます。

この(1)(2)(3)を突合させて介護費、介護報酬は決められるので、各介護事業所で頻繁に提供するサービスの加算や単位数を把握することで、介護報酬の計算は容易となるでしょう。

まとめ

ここまで、介護報酬改定の概要と加算・単位数の計算方法について解説してきました。

2021年度の介護報酬改定では、科学的介護推進体制加算などのLIFEを意識した加算が登場しました。

また、介護給付費のサービスコードは、介護保険法が成立した2000年の1745から、現在までに24905と14.3倍まで増えてきており、さまざまな種類のサービスを提供する事業所では計算が困難になってきています。

筆者
  • ポイント①:介護報酬改定は、日本全体の介護状況の改善につなげることを目的としている
  • ポイント②:2021年度の報酬改定はコロナやLIFEを意識した内容が多く盛り込まれた
  • ポイント③:自分が所属する介護事業所でよく提供されるサービスに紐づく加算や単位数を知っておくと、介護報酬の計算がしやすくなる
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